中国伝統医学手技療法 推拿(すいな)

中国伝統医学について

推拿(すいな)とは、中国伝統医学の基礎理論に基づいた手技療法で、漢方薬、鍼灸とならんで中国伝統医学の3大療法として存在しています

推拿の基礎となっている中国伝統医学は、TCM(Traditional Chinese medicine) とも言われアジアだけではなく近年では欧米でも広く代替医療として用いられています。


解剖学などが発展していない遥か昔、中国の人々は人間の体も自然界の一部として捉え、自然界の法則に則って人体の変化を解明しようとしました。

自然界には光と影、昼と夜があるように陽と陰の考えを用い、自然界の全てのものは、木、火、土、金、水に象徴する5つに分類した陰陽五行という概念がうまれました。

人間の体と精神もこの概念に当てはめ、陰陽と五行のバランスが保たれている状態を健康な状態、バランスが崩れてしまった状態を病気として捉えます。

中国伝統医学は、自覚症状を重視して不調を捉えます。不調を感じる自覚症状があれば、どこかしらのバランスが崩れていると考え、心身を構成する要因がどのように影響し合っているのかを解き明かしながら根本的な不調の原因を探していきます。

このように書くと非常に難しいもののような感じがしますが、パズルの謎解きのようなもので非常に面白い考えだと思います。

 

日本の古典医学も中国伝統医学の影響を多大に受けていますが、いつからか日本人も自分の身体の状態に耳を傾けることを忘れていってしまっているように思います。

身体はバランスが崩れるとたくさんのメッセージを発します。中国伝統医学の理論や施術に触れることで、身体が発するメッセージに耳を傾けるきっかけとなれば良いなと思っております。

推拿療法について

中国伝統医学を基礎とした「推拿(すいな)療法」についてです。

按摩という言葉は耳にしたことがあると思いますが推拿は初めて聞いたという方も多いと思います。

按・摩・推・拿・これは全て手法の名前なのです。按=圧迫する、摩=さする、推=おす、拿=つまむといった感じで、この他にも30種類以上の手法が存在します。

日本には按摩という言葉として聖徳太子の時代頃に中国から伝えられたと言われています。

中国では、病院で受ける治療の手技を推拿、街のお店でリラクゼーションとして受ける手技を按摩と言う場合が多いようです。

中国の多くの病院には推拿科があり、筋・骨角系の疾患だけではなく婦人科や内科、さらに精神的な疾患まで幅広く対応しています。

推拿科の病室はいつも患者さんでいっぱいで、設備は何も無くベッドのみ。中医師と言う中国伝統医学の医師免許を持っている推拿師の先生が白衣を来て『手』のみで治療にあたります。

また、推拿は薬を飲ませられなかったり、鍼治療を受けられなかったりする小児分野でも発展しており、小児推拿科という独立した分野も存在します。

 

手のみで患者さんの身体の状態を把握しながら、その患者さんのバランスの崩れを調整していく推拿。長年の歴史に育まれた臨床データから適応範囲も広く、効果も高いけれど身体に優しい治療法。

それが世界最高峰の手技療法と言われる所以なのです。

推拿の適応症


 

1.骨格や軟組織の
損傷にあたる治療

・50肩
・腰痛
・頸椎痛
・腱鞘炎
・ぎっくり腰
・椎間板突出
・後天性のO脚・X脚
・寝違え
 


 

2.神経系統の症状

・頭痛
・偏頭痛
・神経痛
・座骨神経痛
・不眠
 


 

3.消化器系

・下痢
・便秘など
 


 

4.感覚器系

・後天性斜視
・眼精疲労など
 


 

5.女性の疾病

・冷え性
・生理痛
・更年期障害など